芦ノ湖の水利権は神奈川県でなく静岡県にある。駿河国駿東郡深良村(現裾野市)の名主・大庭源之丞は灌漑用に芦ノ湖から箱根山の外輪山(湖尻峠下)を貫通するトンネルを掘ることを考えた。芦ノ湖の水利権を持つ箱根権現社の許可を得て、江戸商人・友野与右衛門の資金協力を受けて、1670年(寛文10年)に用水路を完成させた。この用水は「深良用水」と呼ばれ、現在は狩野川水系黄瀬川支流の深良川となっている。また、日本を代表する用水のひとつとして、農林水産省の疏水百選に選定されている。
江戸時代は箱根も深良も小田原藩の領地であったので問題はなかったが、両地は廃藩置県後の整理統合を経て神奈川県(足柄県)と静岡県に分割され、湖尻峠が県境となった。そのため両県で水利権をめぐる争いが起きたが、裁判により静岡県に水利権があるとされた。
さらに芦ノ湖に関しては水利権は静岡県が握っているが、水門・水道管施設の維持のための土木工事許認可権を神奈川県が握っているために、渇水などの非常時には神奈川県も芦ノ湖の水を利用できるようになっている。
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